ない過払い金|第3 当裁判所の判断 1 争点1について (1) 原告は年金時効特例法の施行日(平成19

過払い金ので, 原告はであって,社保庁長官の処分に不服がある場合に は同処分に対する抗告訴訟によりこれを争うべきでであり,これらを経ずに直 接,当事者訴訟によって同特例給付に係る保険給付の請求をすることはでき ないと主張するので,以下,検討する。」
年金
時効
特例法


特例法及び同法施行規則その他関連法令中には,同法 施行規則4条の「処分」に対する不服申立ての方法や争訟方法等について 直接定めた規定はないものの,これは,不服申立て等についてはその一般 法たる行政不服審査法及び行政事件訴訟法の規定によることを意味するに すぎず「処, 分」の処分性を否定する理由にはならない。
そうすると,年金時効特例法施行規則4条の「処分」,すなわち被保険 者の申請に基づき社保庁長官のする上記確認処分は,それにより国民の権 利の範囲を確定することが法律上認められるものというべきであるから, 「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たるとともに,同 条の「処分」を受けない限り,施行前裁定特例給付の支給を求めることは できないものというべきである。
ウしたがって,本件においても,年金時効特例法施行規則4条の「処分」 を受けていない原告(弁論の全趣旨)は,施行前裁定特例給付の支給を請 求することはできないから,老齢厚生年金受給権に基づく原告の未払年金 請求(前記第2,3(1)アの請求)は理由がない。
被告は,原告は同法施 行規則1条1項の手続を経て同法施行規則4条の「処分」を受けていない から,上記訴えは訴えの利益を欠き不適法である旨主張するが,被告のい う手続及び処分の欠缺は,原告が現時点で請求可能な具体的な給付請求権 を有するか否かにかかわる本案の問題というべきであるから,採用できな い。
(3)ア原告は,年金時効特例法に基づき新たに受給権者が請求できる年金額は, 被保険者記録の訂正に基づく厚年法33条の裁定と訂正前の同裁定との差 額として一義的に確定するため,同法施行規則4条の「処分」は,単に引 き算の結果を示すだけの意味しかなく,国民の権利の範囲を新たに確定す - 29 - る実質を有しないため処分性はなく,したがって,支給要件でもない旨主 張する。
この点につき,基本権たる受給権の内容は,年金の種類,受給権の取得 年月日,支給開始年月のみならず支給すべき年金額も含むが,この年金額 は被保険者の被保険者期間及びその間の平均標準報酬額を基準として計算 した(厚年法43条1項)場合の1年当たりの年金額を意味するにすぎず, 各支払期月の到来毎に発生する支分権たる受給権とはその内容を異にする ものである。
また,証拠(甲8,乙17)によれば,厚年法33条の裁定 通知書の基本額欄及び年金額欄には,消滅時効期間が経過した分について も,物価スライドに応じた具体的な年金額が年額単位で記載されているこ とが認められるが,これも上記にいう支給すべき年金額を意味するにすぎ ず,同条の裁定において支分権たる受給権が確認の対象となることまでを も意味するものではない。
加えて,裁定のうち時効消滅したとされた部分 について,当時,消滅時効の有無を争うことなく,その年金額だけを争う 利益があったとも思われず,年金時効特例法施行規則4条の「処分」が支 分権たる受給権の支給要件たる行政処分ではないとすると,現時点におい て,その年金額を係争する方法が不分明となる(当事者訴訟が許されると しても,既存の裁定との整合性が問題となる。
)といった不都合も生じる。
したがって,原告主張のとおり,被保険者記録の訂正に基づく裁定と訂 正前の裁定との差額が計算できるとしても,それは計算上可能であること を意味するにすぎず,厚年法33条の裁定において支分権たる受給権も確 認の対象であることを意味するものではないから,上記原告の主張は採用 できない。
イまた,原告は,施行前裁定特例給付の支給に係る社保庁長官の処分は, 年金時効特例法施行規則により創設された処分であり,被告の主張は規則 を法律の上位に置くものとして許されないと主張するが,前記のとおり, - 30 - 同法施行規則4条の「処分」は,同法5条による「この法律の実施のため の手続その他その執行」の一内容として同法による委任を受けて制定され たものであり,同法施行規則4条自体は,直接には,社保庁長官が同特例 給付に関する処分を行った場合における同特例給付の申請者に対する処分 内容の文書による通知の要求といった手続的事項について規定したもので はあるが,その前提として,当然,当該処分を行い得る根拠を与えるもの であるから,上記原告の主張は失当である。


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ウ原告は,年金時効特例法が本件訴訟係属中に施行されたことにより,適 法な訴訟係属が失われ,訴権を不当に侵害される旨主張する。
本訴との関 係で上記主張がいかなる意味を持つかは明確ではないが,前記のとおり, 同法施行規則4条の「処分」を受けていなくとも本件訴えが不適法となる ものではない。
また,上記「処分」を受けていないため請求に理由がないとされる点に ついても,同法施行前において,原告に対する老齢厚生年金の消滅時効の 主張が信義則違反等の理由により許されなかったと仮定すると,同法の施 行により,原告は,実体法上時効消滅の効果の覆滅という利益を受ける反 面,同法施行規則4条の「処分」を受けないと施行前裁定特例給付を受け られないという新たな制約を課せられることになったといえるが,現実に 原告に要求されるのは,同法施行規則1条1項1号ないし3号所定の事項 を記載した書類の提出程度にとどまり,これをもって,同法が違憲である か又は同法施行規則が同法等に違反するとはいえない。
上記仮定が成り立 たないとすると,原告は,同法施行前においても消滅時効の完成した老齢 厚生年金の支給を請求できなかったのであるから,同法施行後,同部分の 老齢厚生年金の支給請求が上記「処分」の不存在のため棄却されても新た な不利益を受けることにはならない。
2 争点2について - 31 - ( )ア前記のとおり,施行前裁定1 特例給付に基づく未支給年金の支払請求には 理由がない以上,これに対する遅延損害金も発生しない。
イ一方,原告は,16年裁定及び本件裁定に基づいて追加給付された年金 部分について,前記のとおりその追加支給自体が遅滞してなされたもので ある旨主張するので,以下,検討する。
厚年法36条3項ただし書は,前支払期月に支払うべきであった年金等 は,支払期月でない月であっても支払うものとする旨規定し,これは,裁 定が初めて求められた場合と再裁定(再々裁定等,当初裁定後の一切の裁 定又は裁定の訂正を含む。
)の場合との双方に適用される規定と解される 一方で,再裁定の場合には当初の裁定時点において再裁定の内容の裁定が なされていた場合には給付されたであろう支払期月に遡って遅延損害金を 付して年金を支給するなどの特別の規定がない以上は,再裁定の場合にも, 公権的に年金額を確認する裁定の後に初めて年金受給権が発生すると解さ ざるを得ない以上,同項ただし書の規定を超えて,再裁定について,再裁 定以前の期間についての遅延損害金の支払を求める原告の請求には理由が ないものといわざるを得ない。
また,16年裁定及び本件裁定がなされた日から実際の支払日までの時 間的な接着性についてみても,前記認定事実のほか,証拠(乙31,32) 及び弁論の全趣旨によれば,16年裁定及び本件裁定に係る追加給付分の 支払は,多数存在する支払期月をすぎた裁定や再裁定に係る年金給付につ いて事務処理の煩を考慮しつつ可及的に速やかな給付を図るために策定さ れた事務処理スケジュールに従った給付がなされていたのであり,16年 裁定及び本件裁定における具体的な給付日をみても,上記各裁定の日の次 の支払期月であったというのであるから,何ら遅滞はないものというべき である。
厚年法36条3項ただし書も,速やかな支給を行わせるべく,支 払期月でない月であっても支払うこととする旨規定しているところ,これ - 32 - は,文言上も,事務処理の煩の考慮といった点からも,裁定又は再裁定の 日を含む月中に支払うべきこと等までをも規定したものとは考えられず, 通常の合理的な事務処理期間を経た後に速やかに支給すべきことを義務付 けた規定にとどまり,これが支払期月でない場合には支払期月でないこと を理由に支給をことさら次の支払期月まで待たざるを得なくなるような事 態を避ける点に意味があるにすぎないものというべきである。
( ) よって,追加支給分について2 の遅延損害金の支払を求める原告の請求(前 記第2,3(2)及び(3)の各アの各請求)にも,理由がないことに帰着する(仮 に,16年裁定又は本件裁定に至ったことに社保庁長官等の過失があり,本 来の給付の時期に遅れたというのであれば,厚年法に規定がない以上,年金 の給付としてではなく,後記のとおり,遅延損害金相当部分について,国家 賠償を求めていくほかはないものといわざるを得ない。


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行政庁
行政庁の処分その他公2 権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3 条2項)とは,公権力の主体たる国又は地方公共団体が法令の規定に基づ き行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はそ の範囲を確定することが法律上認められるものをいう(最高裁判所昭和3 9年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁)。 イ厚年法33条は,保険給付を受ける権利は,受給権者の請求に基づいて, 社保庁長官が裁定する旨規定するが,これは画一公平な処理により無用の 紛争を防止し,給付の法的確実性を担保するため,その権利の発生要件の 存否や金額等につき社保庁長官が公権的に確認するのが相当であるとの見 地から,基本権たる受給権について,社保庁長官による裁定を受けて初め て厚生年金の支給が可能となる旨を明らかにしたものであり,同裁定によ り直接国民の権利の範囲を確定することが法律上認められるものとして, 「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たる(最高裁判所 平成7年11月7日第三小法廷判決・民集49巻9号2829頁参照)。 一方,年金時効特例法5条による委任を受けて制定された同法施行規則 1条及び4条は,同条に「施行前裁定特例給付に関する処分」との文言が あることも考慮すると,同特例給付の支給を受けようとする被保険者の法 的地位は,すでに厚年法33条の裁定により基本権たる受給権の確認を経 ている点で年金時効特例法施行後に上記裁定を受ける受給権者(同法1条 の対象者)とは異なるものの,同法が,受給権者に対して,消滅時効期間 の経過によりいったん法律上当然に消滅した支分権たる受給権について特 に時効消滅の効果を覆滅しその給付を請求できる法的根拠を付与すること を目的とするものであることにかんがみ,改めて,厚年法33条と同様に, 紛争防止及び給付の法的確実性の担保を図るべく,給付の可否,内容等に つき社保庁長官が公権的に確認するのが相当であるとの見地から,同特例 給付を受けようとする被保険者の申請に基づき,社保庁長官が支分権たる - 28 - 受給権の存否,内容等について確認処分をすることによって初めて,具体 的にその支払を請求することが可能となるものとしたと解することができ る。